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パーキンソン病とは?押さえておくべき4大症状と基本的な治療法

パーキンソン病とは?押さえておくべき4大症状と基本的な治療法

「パーキンソン病ってどんな病気?」「現れやすい症状や治療法を教えてほしい」などと考えていませんか。何かしらの症状が現れて心配している方もいるでしょう。パーキンソン病は、振戦などを特徴とする神経難病です。加齢とともに有病率は高まります。ここでは、パーキンソン病の症状、重症度分類、治療法などを解説しています。以下の情報を参考にすれば概要を理解できるはずです。全体像を把握したい方は参考にしてください。

パーキンソン病とは

イギリスの医師であるジェームス・パーキンソンが1817年に最初に症例を報告した神経難病です。日本国内では指定難病として扱われています。具体的には、黒質のドパミン神経細胞が脱落してドパミンを供給できなくなる病気です。発症すると自然に治ることはなく、少しずつ進行していきます。発症しやすい年齢は50~65歳です(若年性もあります)。発症率は年齢を重ねるほど高くなります。主な症状は以下の通りです。

【4大症状】

  • ・安静時振戦
  • ・動作緩慢(無動・寡動)
  • ・筋強剛(筋固縮)
  • ・姿勢保持障害(転倒しやすい)

症状については、この後で詳しく解説します。病気の診断は、特徴的な症状をもとに他の病気の可能性を除外たうえで、パーキンソン病の薬に対する反応をみて行います。他の病気を否定するためCT検査・MRI検査などを行い、他の薬の影響も調べます。専門医であっても、診断が難しいことは少なくありません。

パーキンソン病は、重症度と生活機能障害度で分類します。難病医療費助成制度の対象になるのは、重症度分類3度以上で生活機能障害度2度以上の方です(他の医療給付を受けていないなどの条件があります)。生活機能障害度2度は「日常生活、通院に部分的介助を要する。」状態です。詳しい分類は、後述しています。日常生活や介護においては「すくみあし(足が前に出ない状態)」「首下がり(頭部が下がった状態)」「よだれ」「便秘」「幻覚・妄想」「起立性低血圧」などに注意が必要といえるでしょう。

関連記事:パーキンソン病が進行する流れと注意しておきたい運動合併症

パーキンソン病の主な症状

症状は運動症状と非運動症状にわかれます。それぞれについて詳しく解説します。

運動症状

4大症状は、全て運動症状に分類されます。各症状の概要は次の通りです。

症状 概要
安静時振戦 振戦は、手や足など身体の一部に起こるふるえです。静止時に起こりやすく、動作時は軽減する傾向があります。最も多い初発症状と考えられています。
動作緩慢(無動・寡動) 振戦の次に多い初発症状です。動作が遅くなることを指します。椅子から立ち上がる動作やベッドで体位を変換する動作で目立ちます。また、細かな動きを必要とする動作も難しくなります。
筋強剛(筋固縮) 筋肉が緊張して動きが固くなることです。自覚症状はありませんが、第三者が手や足などを動かそうとすると強い抵抗を感じます。
姿勢保持障害 発症後、数年経過してから生じる運動症状です。身体のバランスを取りにくくなるため転倒しやすくなります。例えば、第三者に押されるとバランスを保てない、歩きはじめると次々と足がでて止まれないなどがあげられます。

これらのほか、同時に2つの動作をする能力が低下する、自由にリズムをとる能力が低下するなどの症状も現れます。日常生活では、歩くことが難しくなる、表情が乏しくなるなどが目立ちやすくなるでしょう。

非運動症状

以上のほかにも、さまざまな症状が現れます。具体的には、便秘・頻尿・起立性低血圧(自律神経障害)、睡眠障害、意欲の低下、嗅覚の低下、幻覚・妄想、抑うつ、不安障害などの非運動症状が現れます。多彩な症状が現れる点と運動症状の前にこれらの症状が現れる点がポイントです。例えば、便秘や頻尿などの自律神経障害が現れてから振戦が現れるなどが考えられます。これらの症状だけでパーキンソン病に気づくことは難しいですが、診断においては重要な手掛かりになります。

関連記事:パーキンソン病にみられる4大症状と初期・中期・末期症状の特徴

パーキンソン病の分類

ホーエン・ヤール重症度と生活機能障害度で分類されます。これらについて詳しく解説します。

ホーエン・ヤールの重症度

ホーエン・ヤール重症度では、0~5度で重症度を評価します。具体的には次の通りです。

 

0度 パーキンソニズムなし
1度 一側性パーキンソニズム
2度 両側性パーキンソニズム
3度 軽~中度パーキンソニズム。姿勢反射障害あり。日常生活に介助不要
4度 高度障害を示すが、歩行は介助なしにどうにか可能
5度 介助なしにはベッド又は車椅子生活

引用:厚生労働省「6 パーキンソン病」

ここでいうパーキンソニズムは、パーキンソン病で引き起こされる運動症状といえるでしょう(他の病気で現れることもあります)。参考に、兵庫県難病相談センターの公式サイトに掲載されているホーエン・ヤール重症度の評価も紹介します。

Ⅰ度 障害は身体の片側のみで、日常生活への影響はほとんどない
Ⅱ度 障害が身体の両側にみられるが、日常生活に介助は不要
Ⅲ度 明らかな歩行障害が現れ、バランスを崩し転倒しやすくなる
Ⅳ度 日常生活の動作が自力では困難で、その多くに介助が必要
Ⅳ度 車椅子またはベッド上で寝たきりで、日常生活では全面的な介助が必要

引用:兵庫県難病相談センター

前述の通り、難病医療費助成制度の対象になるのは重症度分類3度以上です。治療開始後の重症度の判定は、適切な治療が行われている状態で、直近6カ月の最も悪い状態を医師が判断して行います。

生活機能障害度

生活機能障害度は3段階で評価します。具体的には次の通りです。

1度 日常生活、通院にほとんど介助を要しない。
2度 日常生活、通院に部分的介助を要する。
3度 日常生活に全面的介助を要し、独立では歩行起立不能。

引用:厚生労働省「6 パーキンソン病」

難病医療費助成制度の対象になるのは生活機能障害度2度以上です。ただし、重症度分類などで医療費助成の対象に該当しない方が、高度な医療の継続を要する場合は医療費助成の対象になることがあります。

関連記事:パーキンソン病の重症度分類を解説!生活機能障害度Ⅰ度~Ⅲ度も確認

パーキンソン病が起こる原因

中脳の黒質ドパミン神経細胞の減少が主な原因と考えられています。減少により機能が失われることでさまざまな症状が現れます。残念ながら、この神経細胞が減少する正確な理由はわかっていません。現在のところ、αシヌクレインというタンパク質が神経細胞の中に凝縮・沈着することによると考えられています。

パーキンソン病の5~10%は血縁者に同じ病気の方がいる家族性です。この場合、遺伝子異常が確認されることもあります。血縁者に同じ病気の方がいない孤発性の場合、遺伝的要因に加え環境的要因も影響していると考えられています。環境因子の中で特に重要と捉えられているのが加齢です。加齢とともに有病率が高くなることを踏まえて対処するべきといえるでしょう。

関連記事:パーキンソン病の原因とは?代表的な症状と日常生活での対処法

パーキンソン病の薬

治療で用いられている主な薬は以下の通りです。

【薬の種類】

  • ・ドパミンアゴニスト
  • ・L-ドパ
  • ・COMT阻害薬
  • ・抗コリン剤
  • ・塩酸アマンタジン
  • ・ドロキシロパ
  • ・MAO-B阻害薬
  • ・ゾニサミド
  • ・アデノシン受容体拮抗薬

基本の薬となるのは、ドパミンアゴニストとL-ドパです。前者は受容体を刺激してドパミンのように働く薬、後者は不足するドパミンを補う薬(ドパミンの元になる薬)です。基本的には、これらに他の薬を組み合わせて治療します。若年者はドパミンアゴニスト、高齢者や認知症の方はL-ドパで治療を開始することが少なくありません。

注意すべき他の病気の薬

他の病気で服用している薬にも注意が必要です。抗精神薬などの中には、ドパミンの伝達を妨げてパーキンソン病の症状に悪影響を及ぼすものがあります。また、一部の薬は一緒に服用できません。具体的な影響はケースで異なるため、治療を受ける前に主治医に服用中の薬を示すことが大切です。薬の名称がわからない場合は、服用中の薬を持参する、あるいは薬局でもらったお薬手帳を主治医に提示するとよいでしょう。
関連記事:バナナはパーキンソン病治療薬と相性が悪い?予防に役立つ食材も紹介

パーキンソン病の治療方法

薬で症状をコントロールできない場合や薬の副作用が問題になる場合は、手術療法なども行われています。ここでは、薬物療法以外の治療方法を紹介します。

脳深部刺激療法

脳に埋め込んだ電極と胸に埋め込んだ刺激装置をワイヤーでつないで、脳に電気刺激を送り神経細胞の興奮を抑える治療法です。オフ状態でも身体を動かしやすくなる(オフ状態=薬の働きが弱まった状態)、薬を減らせる(L-ドパ)などの効果を期待できます。根治治療ではないため手術後も薬の服用は必要です。

脳深部刺激療法を行っている施設は少ないとされています。また、全ての方が治療を受けられるわけではありません。70歳以下、認知症ではない、L-ドパが有効などの基準が設けられています。

レボドパ・カルビドパ空腸投与ゲル

薬物療法で運動合併症のコントロールが難しくなったケースなどで用いられているデバイス治療です。具体的には、胃瘻空腸路を造設してゲル状のレボドパ製剤を送り込みます。この治療法のメリットは、薬の安定した吸収を可能にできることです。したがって、薬が効いている時間帯と効いていない時間帯(オン・オフ現象)の変動が小さくなります。また、薬が効きすぎて起こる不随意運動(ジスキネジア)も抑えやすくなります。

MRIガイド下収束超音波療法

MRI画像をみながら、脳に超音波を当てて狙った部位を熱凝固させる治療です。薬物療法で十分にコントロールできない運動症状の緩和を期待できます。特に、振戦に対して有効と考えられています。主なメリットは、治療で心身にかかる負荷が小さいことと条件を満たせば保険を適用できることです。ただし、治療を受けられる施設は多くありません。
関連記事:パーキンソン病は治る?治療の効果、新しい治療と注意したいポイント

パーキンソン病のリハビリテーション

運動機能などを維持するため、パーキンソン病ではリハビリテーションも欠かせません。特に重要になるのが運動療法です。主な目的は、筋力や体力を維持することといえるでしょう。具体的には、ウォーキングやストレッチ、体操などが考えられます。運動に取り組むときは、姿勢の変化や転倒などに注意が必要です。

日常生活で必要な動作の維持・向上を目指して作業療法にも取り組みます。パーキンソン病では、手が震えて字が書きにくい、箸を使いにくいなどの問題が現れやすくなります。手の機能が改善する取り組みを行ったり、手が震えてもこれまで通り生活できる環境(スプーンの練習など)を整えたりします。

発話障害がみられるケースでは、言語療法に取り組むこともあります。声が小さくなるなどの問題が生じると、コミュニケーションを図りにくくなってしまうためです。変化を感じるときは、専門家へ早めに相談することが重要です。

パーキンソン病の全体像を理解

ここでは、パーキンソン病の概要を解説しました。パーキンソン病は、4大症状と特徴とする神経難病です。便秘・頻尿・睡眠障害・抑うつなど、非運動症状も現れます。ドパミン神経細胞の脱落により引き起こされますが、明確な原因はわかっていません。基本的には、薬物療法で症状を和らげつつ生活することになります。並行して、リハビリテーションに取り組むことも大切です。主治医と相談しつつ適切に対処しましょう。在宅で生活が難しくなった場合は、パーキンソン病専門住宅を利用することもできます。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。