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パーキンソン病・パーキンソン症候群の違いと両者の診断方法

パーキンソン病・パーキンソン症候群の違いと両者の診断方法

パーキンソン病とパーキンソン症候群は、共通する4つの運動症状を特徴とします。ただし、同じ病気を指すわけではありません(狭義の場合)。

原因、経過、治療法などは異なるため詳細を理解しておくことが大切です。ここでは、両者の概要と違いを解説するとともに、診断のポイントを紹介しています。以下の情報を参考にすれば、全体像を掴めるはずです。両者の違いを理解したい方は参考にしてください。

パーキンソンニズムとは

パーキンソンニズムは、パーキンソン病の運動症状の総称です。動作緩慢に加えて、以下のいずれかの症状を認める場合に該当します。

【症状】

  • 筋強剛
  • 安静時振戦
  • 姿勢保持障害

筋強剛は筋肉がこわばった状態です。他動的に手足を動かすと、歯車が噛み合ったような抵抗を感じます(歯車様筋強剛)。安静時振戦は、じっとしているとき、力を抜いているときに生じる震えです。動作を開始すると震えはとまります。姿勢保持障害は、体のバランスを取りにくくなった状態です。この状態になると転倒しやすくなります。

パーキンソンニズムは、パーキンソン病だけで現れるわけではありません。パーキンソン病とパーキンソン症候群で引き起こされます。それぞれの概要は次のとおりです。

パーキンソン病とはなにか

中脳の黒質に存在するドパミン神経細胞が変性して、脳のドパミンが不足することによりさまざまな症状が引き起こされる病気です。以下の4つの症状を特徴とします。

【4大症状】

  • 安静時振戦
  • 筋強剛(筋固縮)
  • 無動・寡動
  • 姿勢反射障害

初発症状として現れやすいのは振戦です。一方で、姿勢反射障害で発症することはありません。動作は、全般的に緩慢になるケースが多いでしょう。椅子やベッドから立ち上がるときに目立つ傾向があります。

歩くときに前傾前屈姿勢になることや歩幅が小さくなることなども特徴としてあげられます。また、パーキンソン病は、認知機能の低下、妄想、幻覚、意欲の低下、睡眠障害、自律神経障害などの非運動症状も合併します。

進行性の病気である点もパーキンソン病の特徴です。動作緩慢が主症状の場合は進行が早い、振戦が主症状の場合は進行が遅い傾向があります。適切な治療を受ければ、発症してから10年程度は通常の生活を継続できるケースが多いでしょう。平均余命に重大な影響を与えないと考えられている点もポイントです。

(参考:難病情報センター

関連記事:パーキンソン病とは?押さえておくべき4大症状と基本的な治療法

パーキンソン症候群とはなにか

パーキンソン症候群は、パーキンソンニズムを引き起こす病気の総称です。狭義ではパーキンソンニズムを引き起こすパーキンソン病以外の病気、広義ではパーキンソンニズムを引き起こす病気を指します。つまり、広義ではパーキンソン病もパーキンソン症候群に含まれます。パーキンソン症候群の原因になりうる病気の例は次のとおりです。

【原因】

  • 慢性硬膜下血腫
  • 正常圧水頭症

パーキンソン病と同様の症状を現しますが、原因により経過や治療法などは異なります。原因を見極めて対処することが重要です。

パーキンソン病とパーキンソン症候群の違い

パーキンソン病は、何かしらの原因でドパミン神経細胞が変性し、ドパミンが減少した結果、脳の命令をうまく伝えられなくなり手足の震えや体のこわばりなどの症状が現れる病気です。ドパミンの不足で症状が引き起こされているため、薬でドパミンを補うと特有の症状は改善します。

これに対して、パーキンソン症候群の原因はさまざまです。動作緩慢や筋強剛などの症状を呈する点は共通していますが、前述のとおり経過などは異なります。また、パーキンソン病の治療薬を服用しても、効果を得られない、または限定的な効果しか得られないと考えられます。よく似た症状が現れていても、別の病気である点に注意が必要です。

パーキンソン症候群の主な病気

パーキンソン症候群に含まれる病気は次のとおりです。

【病気の種類】

  • 多系統萎縮症
  • 進行性核上性麻痺
  • 大脳皮質基底核変性症
  • 薬剤性パーキンソン症候群
  • 脳血管性パーキンソン症候群

多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症は、パーキンソン病と同じく神経変性疾患に分類されます。いずれも、介護保険上の特定疾病です。薬剤性パーキンソン症候群は薬の副作用、脳血管性パーキンソン症候群は脳血管障害で引き起こされます。薬剤性パーキンソン症候群のリスクがある薬として、一部の胃腸薬、抗うつ薬、頻尿治療薬があげられます。

パーキンソン病とパーキンソン症候群の診断方法

パーキンソン病の診断は、原則として問診からスタートします。よくある質問の例は次のとおりです。

【質問の例】

  • いつ頃から、どんな症状が現れているか?
  • 症状はどれくらい続いているか?
  • 症状はどのように変化しているか?
  • 服用している薬はあるか?
  • これまでにかかった病気はあるか?

症状が左右対称に表れている場合や症状が急激に現れた場合、進行が早い場合、早期から転倒する場合などはパーキンソン症候群の可能性が高くなります。パーキンソン病の特徴と異なるためです。

問診の結果、パーキンソン病が疑われる場合は、画像診断、臨床検査などを行います。明らかな異常が認められる場合も、パーキンソン症候群の可能性が高いといえるでしょう。パーキンソン病の治療薬を服用して反応を確かめることもあります。効果がない場合は、パーキンソン症候群と考えられます。ただし、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症とパーキンソン病の区別は簡単ではありません。確定診断まで時間がかかることもあります。

パーキンソン病とパーキンソン症候群の違いを理解

ここでは、パーキンソン病とパーキンソン症候群について解説しました。
パーキンソン病は、パーキンソニズム(動作緩慢・筋強剛・安静時振戦・姿勢保持障害)を特徴とする神経変性疾患です。パーキンソニズムは他の病気でも現れます。
これらの病気をパーキンソン症候群といいます。両者は原因、経過、治療法などが異なります。
たとえば、パーキンソン症候群にパーキンソン病治療薬はあまり効きません。両者の違いを理解して、適切に対処することが重要です。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。
パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

 

監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。