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パーキンソン病で現れる精神症状とその治療法

パーキンソン病で現れる精神症状とその治療法

「パーキンソン病の精神症状ってどんなもの?」という疑問を抱いていませんか。ここでいう精神症状は、パーキンソン病が引き起こす非運動症状のひとつです。
具体的には、抑うつ、妄想、幻覚などを指します。

本記事では、パーキンソン病で現れる精神症状を解説するとともにその治療法を紹介しています。
パーキンソン病の患者さん、そのご家族などは参考にしてください。

パーキンソン病の精神症状

パーキンソン病の症状は、運動症状と非運動症状に大別されます。非運動症状のひとつとしてあげられるのが精神症状です。ここでは、主な精神症状を紹介します。

抑うつ

抑うつは、気分の落ち込みや憂鬱な気分などが続いている状態です。パーキンソン病の精神症状では、意欲の欠如や興味の減退が目立つと考えられています。
具体的には、これまで楽しんでいた趣味を楽しめなくなる、家族や友人と話したり出かけたりすることに負担を感じる、毎日の生活に張り合いを感じられなくなるなどがあげられます。

なお、抑うつは、パーキンソン病でもっとも現れることが多い精神症状のひとつです。生活の質(QOL)を低下させる要因となるため、症状が現れた場合は十分なケアが必要です。

関連記事:パーキンソン病とうつ病は併発する?一般的なうつ病との違いと治療法

幻覚

厚生労働省が運営する 「こころの耳」のサイトでは、幻覚は次のように定義されています。

実際にはない刺激を知覚することをいい、錯覚とは区別されます。

(引用:こころの耳)

錯覚は、外部の刺激を誤って知覚することです。幻覚には、次の種類などがあります。

【幻覚の種類】

  • 幻視:実際にはないものが見える
  • 幻聴:実際にはない音が聞こえる
  • 幻臭:実際にはない臭いを感じる
  • 幻味:実際にはない味を感じる

客観的事実とは別に、本人がこれらの刺激を知覚している点が特徴です。パーキンソン病の精神症状では、主に進行期の患者さんに幻覚(特に幻視)の症状が認められます。

幻覚の原因ははっきりと分かっていませんが、病気の経過による脳内の変化と治療薬であるドーパミンアゴニスト(ドーパミン作動薬)の影響で引き起こされると考えられています。
なお、パーキンソン病を患う方の約50%は幻覚または妄想を経験するといわれています。周囲の方に話せず悩んでいる方が多いようです。

認知機能障害

認知機能障害は、実行、知覚、記憶などの脳機能に障害が生じた状態です。パーキンソン病の精神症状では、1日の計画を立てたり複雑な問題に対処したりすることが難しくなります。認知機能障害の原因は、ドーパミンの不足などが脳の機能に影響を与えることと考えられています。

特に高齢の方や病気が進行している方は、認知機能障害の発症リスクが高いため注意が必要です。
ちなみに、認知機能障害を認めるものの認知症とはいえない状態を軽度認知機能障害といいます。

妄想

妄想は、実際にはありえないことを真実と思い込んでしまうことです。
たとえば、大切にしていたものをご家族に盗まれた、誰かが自分の悪口をいっているなどの思い込みがあげられます。妄想が幻覚に付随するケースもあります。幻覚と同じく、患者さんにとっては実際に起きている出来事と認識されているため、周囲の方々はすぐに否定しないことが大切です。否定により自尊心を傷つけてしまうことがあります。

パーキンソン病で現れる妄想の原因も分かっていません。幻覚と同じく、病気の経過による脳内の変化やドーパミンアゴニストの影響が疑われています。妄想も多くの患者さんが経験する精神症状です。悩んでいる方は主治医などに相談するとよいでしょう。

パーキンソン病の精神症状を改善する治療法

ここからは、パーキンソン病で現れる精神症状の主な治療法を紹介します。

治療法➀薬物投与

薬物投与は、現れている精神症状にあわせて薬剤を投与する治療法です。たとえば、認知機能障害に対してドネペジルを投与するなどが考えられます。ドネペジルは、認知症症状の進行抑制を目的とする薬です。

反対に、薬剤の投与を中止するケースもあります。たとえば、幻覚や妄想で生活に支障が生じている場合は、直近に投与した薬剤を中止してこれらの症状が現れる要因を減らします。そのうえで、パーキンソン病の治療薬を見直したり抗認知症治療薬を併用したりして対処します。

治療法②ピアカウンセリング

精神症状に対してピアカウンセリングを実施する治療法です。ピアカウンセリングの「ピア」は仲間などを意味します。つまり、ピアカウンセリングは、同じ悩みを抱える方々が集まって、話し合ったり支えあったりするカウンセリングです。専門家には相談しにくいことを相談できたり、些細な悩みを共有できたりする点が魅力 といえるでしょう。患者さんやご家族のQOL向上につながる可能性があります。また、外出する目的にもなりえます。

治療法③パーキンソン病の正しい理解

患者さんやご家族などが病気を正しく理解することも、精神症状の対処方法といえます。
病気に対する周囲の方々による理解が不足していると、精神症状への対処が遅れてしまうためです。

たとえば、幻覚を病気の症状と理解できず患者さんを否定する、医療機関への相談が遅くなるなどが考えられます。
パーキンソン病では、精神症状だけでなくさまざまな症状が現れます。病気を正しく理解して、医療機関と連携しながら適切に対処していくことが大切です。

関連記事:パーキンソン病とは?押さえておくべき4大症状と基本的な治療法

パーキンソン病はさまざまな精神症状を引き起こす

ここでは、パーキンソン病の精神症状について解説しました。精神症状は非運動症状のひとつです。
具体的には、抑うつ、幻覚、妄想、認知機能障害などを指します。患者さんおよび周囲の方々が、パーキンソン病の精神症状について理解を深めておくことが大切です。
精神症状の対処法は患者さんで異なるため、何かしらの異変を感じている方は、主治医に相談するとよいでしょう。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

 

監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。