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コラム
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パーキンソン病の疑いがある場合は何科を受診すればいい?

体調の変化や異常を感じていろいろ調べたところ、パーキンソン病が疑われる症状に該当してしまった方もいるはずです。ただ、どのような病気なのかよくわからないと「何科を受診すればいいの?」と、受診すべき科目すら判断できないこともあるでしょう。
そこで、パーキンソン病かもしれないと不安を感じている方のため、主な症状や診断を受けるための診療科について紹介します。この記事を読むことで適した診療科やどのような対処法があるのかがわかるようになるので、ぜひご覧ください。
パーキンソン病とは
パーキンソン病とは、身体の動きに障害が現れる病気です。脳の中でも「中脳」と呼ばれる部分では、意欲や幸福感、学習、運動機能を調整する神経伝達物質ドーパミンが生成されます。
ドーパミンを生成するドーパミン神経細胞が減少し、ドーパミンが不足して発症するのが、パーキンソン病です。
ドーパミンは運動機能と深く関わっていることから、不足してしまうと脳の命令をうまく筋肉に伝えることができません。命令を受け取れない筋肉は正しく動けなくなり、身体の動きに障害が現れます。
まだドーパミン神経細胞が減少する正確な理由は明らかになっていません。ただ、神経細胞の中のタンパク質であるαシヌクレインが凝縮・沈着することによって発生する病気と考えられています。
パーキンソン病の主な症状
パーキンソン病の主な症状には、以下のようなものがあります。
【主な症状】
- 身体の震え
- 筋肉のこわばり
- すくみ足
- うつや認知症、不安などの精神症状
- 便秘や排尿障害などの自律神経障害
- 痛みや味覚障害などの感覚障害
- 日中の眠気や不眠などの睡眠障害
- その他
パーキンソン病といえば運動系の症状がよく知られていますが、精神症状や自律神経障害、感覚障害、睡眠障害などの非運動症状も現れます。
自己判断は難しいため、「上記の症状に該当するかもしれない」と少しでも感じたら、一度病院の受診を検討しましょう。
受診する診療科について、これから解説します。
パーキンソン病が疑われる場合の診療科
パーキンソン病の可能性がある場合、何科を受診すればよいかわからないこともあるでしょう。脳の病気であることから、疑わしい症状が出た場合に選ぶべき診療科は脳神経内科です。
紹介したように、パーキンソン病になると実にさまざまな症状が現れます。専門家であっても診断が難しいとされている病気です。
そのため、脳神経内科では、専門的な脳の検査を行います。
パーキンソン病の検査方法
脳神経内科では、現在の症状や画像所見を基に診断します。
パーキンソン病の中でも特に多く現れるのが、動作が遅くなったり、動きが小さくなったり、少なくなったりする運動緩慢と呼ばれる症状です。この他に、安静時振戦(ふるえ)、筋肉のこわばりなどの運動症状がみられるか確認・検査します。
また、診断のための補助検査として、以下が行われることもあります。
【検査の種類】
- 嗅覚検査
- MIBG心筋シンチグラフィー検査
- DATスキャン
- 頭部CT・MRI検査
MIBG心筋シンチグラフィー検査とは、脳の血流状態を画像化することにより、異常状態を見るための検査です。
DATスキャンは、ドーパミン神経細胞の障害を評価するために放射線医薬品を用いて検査を行います。
また、パーキンソン病では頭部CT検査や頭部MRIで明らかな異常はみられませんが、他の病気と区別するために実施されることがあります。
パーキンソン病の治療法
残念ながら、病気の進行を止める効果的な治療法はまだ開発されていません。主に薬物療法と手術療法の2つの治療法が実施されています。
パーキンソン病の治療法の中でも中心となるのは、薬物療法です。内服薬を飲み、症状の改善や一般的な生活ができる状態を目指します。
パーキンソン病ではさまざまな症状が現れるため、複数の治療薬の中から症状に合ったものが処方されます。年齢や、認知症を併発しているかによっても選択される治療薬は異なります。
手術療法は、薬物療法で十分な効果が得られない場合や、自分では止めることができない、または止めてもすぐに再発する身体の動きがみられる場合に行われる治療です。
たとえば、脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation)はDBSと呼ばれる治療法で、電気刺激を脳深部に与えることで症状改善を目指します。
他にもレボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法やアポモルヒネ皮下注など、いくつかのデバイス補助療法があり、症状に応じて選択されます。
自分でできるパーキンソン病の対処法
パーキンソン病の治療は薬物療法または手術療法となりますが、症状緩和のために自分でできる対処法がいくつかあります。
まず、運動やストレッチについて紹介します。
パーキンソン病になると姿勢が前かがみになることがあります。
なるべく腕を上げて背中を伸ばす運動や、うつ伏せに寝て頭部を上げるストレッチを取り入れてみましょう。
また、パーキンソン病は、神経伝達物質ドーパミンの不足によって発症する病気で、ドーパミンは快楽物質とも呼ばれています。楽しいことをしているとき、褒められたときなどに分泌されることから、ドーパミンを増やすために、日々の生活の中で楽しいことや嬉しいことを増やしていきましょう。
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何科に行くか迷ったら脳神経内科に相談
いかがでしたか? 本記事では、パーキンソン病が疑われる場合に受診すべき診療科について解説しました。
基本的に脳神経内科が適切です。気になる症状がある場合は、早めに医師へ相談しましょう。パーキンソン病の進行により、将来的に自宅での生活が難しくなることもあります。
スーパー・コートではパーキンソン病専門住宅を運営しており、医療・リハビリ・日常生活のサポートを充実させています。
パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。
監修者

花尾 奏一 (はなお そういち)
介護主任、講師
<資格>
介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士
<略歴>
有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。