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パーキンソン病とうつ病は併発する?一般的なうつ病との違いと治療法

パーキンソン病とうつ病は併発する?一般的なうつ病との違いと治療法

「パーキンソン病とうつ病は併発するの?」などの疑問を抱いていませんか。

最初に結論を示すと、パーキンソン病とうつ病は併発することがあります。
また、パーキンソン病の非運動症状として抑うつを発症することもあります。
病気の経過に影響を与える恐れがあるため注意が必要です。

ここでは、パーキンソン病とうつ病を併発する割合、パーキンソン病が原因で抑うつ状態になる理由に加えて、基本的な治療法などを解説しています。
パーキンソン病の方、もしくはパーキンソン病の疑いがあり精神的な不調にお悩みの方などは、参考にしてください。

パーキンソン病とうつ病は併発するのか?

パーキンソン病は、うつ病を併発することがあります。
うつ病は、憂鬱な気分を始めとする心の症状と不眠を始めとする体の症状が2週間以上続いている状態です。ただ、パーキンソン病との合併頻度は5%未満と考えられており、この頻度は高齢者全体のうつ病の発症頻度と大きく変わりません。

また、パーキンソン病の非運動症状として、抑うつを発症することもあります。発症する割合は40%程度です。抑うつは、憂鬱な気分が続いている状態です。

パーキンソン病では、うつ病を併発する割合よりも、非運動症状の抑うつを発症する割合が高いと考えられています。

うつ病、抑うつは、患者さんの生活の質やパーキンソン病の治療に大きな影響を与えることが分かっています。不調を感じる場合は、主治医に相談するなどして適切に対処することが大切です。

出典:J-STAGE「第 55 回日本老年医学会学術集会記録

関連記事:パーキンソン病で現れる精神症状とその治療法

パーキンソン病の方が抑うつを併発する原因

パーキンソン病の方が抑うつを併発する原因は以下のとおりです。

【パーキンソン病の方が抑うつを併発する原因】

  1. パーキンソン病とは別にうつ病を発症している
  2. パーキンソン病の進行や症状に悩んでいる
  3. パーキンソン病の精神症状として現れている

1は、パーキンソン病とは無関係にうつ病を発症しているケースです。2は、パーキンソン病をきっかけとして、抑うつ状態になっていると考えればよいでしょう。病気がわかったときや病気が進行したときなどに悪化する傾向があります。3は、パーキンソン病が引き起こす非運動症状(精神症状)として抑うつが現れているケースです。非運動症状の抑うつは、運動症状が現れる前や発症後早期から現れる傾向があると考えられています。

パーキンソン病の抑うつと一般的なうつ病との違い

パーキンソン病で現れる抑うつの主な症状として、興味または喜びの喪失、不安感などがあげられます。一般的なうつ病でみられる、自殺念慮/自殺企図、罪責感/無価値感(自分を責める感情、自分には価値がないなど否定的になる状態)が現れることは少ないと考えられています。

また、パーキンソン病の抑うつでは、症状の日内変動が起こりにくい点も一般的なうつ病との違いとしてあげられます。一般的なうつ病は、午前中は症状が重く、午後は症状が軽くなる傾向があります。

パーキンソン病の抑うつ症状の特徴

パーキンソン病の抑うつでは、興味または喜びの喪失が中心的な症状として現れます。
たとえば、仕事に興味をもてなくなる、楽しみにしていたテレビやラジオを楽しめなくなる、何をやっても楽しいと感じられないなどがあげられます。

また、パーキンソン病の抑うつ症状が、運動症状に影響を与える恐れがある点も特徴です。
たとえば、抑うつによって、振戦やすくみ足などの症状が現れることがあります。反対に、運動症状が抑うつの症状に悪影響を与えることも少なくありません。

さらに、抑うつの症状によって、パーキンソン病であるという診断結果を受け入れられないケースもあります。
このようなケースでは適切な治療を行えず、パーキンソン病の症状が悪化する恐れがあります。

抑うつ状態で活動性が低下して、筋力の低下などを招くことも考えられます。パーキンソン病の経過に大きな影響を与えることがあるため、抑うつの症状には注意が必要です。

パーキンソン病の抑うつ症状の治療法

抑うつの症状が現れている場合は、パーキンソン病の薬を用いて運動症状の治療を進めます。運動症状の治療を進めることで、抑うつ症状の改善も期待できるためです。また、運動症状が安定すると、不安も軽減する傾向があります。運動そのものに抑うつを改善する効果を期待できる点も見逃せません。

パーキンソン病に関する正しい知識を身につけることも治療の一環です。
正しい知識は、不安の軽減などに役立ちます。抑うつ症状の軽減を目指して、ピアカウンセリングや心理療法などを実施することもあります。
ピアカウンセリングは、同じ悩みを抱える方々が集まって話し合ったり支えあったりするカウンセリングです。

症状などによっては、抗うつ薬を用いるケースもあります。パーキンソン病の抑うつ症状にも抗うつ薬は有効と考えられています。

ただし、まずは運動症状の改善を目指すことが一般的です。

パーキンソン病の薬に頼らないTMS治療とは

パーキンソン病の抑うつ症状が薬物療法を受けても改善しない場合は、TMS治療を検討するとよいかもしれません。
TMS治療は、体を傷つけることなく磁気で脳を刺激する治療です。TMS治療は次の特徴を備えます。

特徴①副作用が少ない

TMS治療では、専用のコイルを頭にあてて磁気で脳を刺激します。薬を使用しないうえ、目的とする部位以外を刺激しないため、副作用が少ないと考えられています。抗うつ薬で起こりやすい吐き気や食欲不振などに悩まされることは少ないでしょう。

特徴②集中力や思考力の調整につながる

TMS治療の特徴は、磁場を用いて脳内に電流をつくり神経細胞を刺激することです。これにより、神経伝達物質のバランスを整えて集中力や思考力などのネットワークを調整できると考えられています。

特徴③依存行動をコントロールしやすくなる

パーキンソン病の方は、買い物やギャンブルなどに依存しやすいと考えられています。依存しやすい行動をとることでドーパミンが分泌されて、体が一時的に楽になるためです。
TMS治療は、やめたくてもやめられない行動を我慢しているときに生じるイライラを軽減する働きもあると考えられています。依存行動のコントロールにも役立つ可能性があります。

パーキンソン病はうつ病を併発することがある

ここでは、パーキンソン病とうつ病の関係について解説しました。
パーキンソン病では、精神症状のひとつとして抑うつが現れることがあります。一般的なうつ病に比べて、興味または喜びの喪失が現れやすいと考えられています。パーキンソン病の経過に影響を与える恐れがあるため注意が必要です。パーキンソン病で現れる抑うつの治療では、運動症状の改善を目指すことが一般的ですが、心理療法を行うことや抗うつ薬を使用することもあります。気分が優れないなど、気になる点がある方は、主治医に相談してみてはいかがでしょうか。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。
パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。