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パーキンソン病のウェアリングオフとジスキネジアの原因・治療法など

パーキンソン病のウェアリングオフとジスキネジアの原因・治療法など

「ウェアリングオフやジスキネジアってどんなもの?」などの疑問を抱いていませんか。

ウェアリングオフとジスキネジアは、パーキンソン病の進行にともない出現する恐れがある運動合併症です。日々の生活に大きな影響を及ぼすため注意が必要といえるでしょう。
ここでは、ウェアリングオフとジスキネジアの概要、原因、治療法などについて詳しく解説しています。運動合併症について理解を深めたい方は参考にしてください。

パーキンソン病の運動合併症とは

パーキンソン病が進行すると、薬を飲んでいても体が急に動きにくくなったり、薬を飲むと体が勝手に動いたりするようになることがあります。これらの症状を運動合併症といいます。運動合併症の主な原因は、薬が効果を現す血中濃度の幅が狭くなることと、胃腸の働きが悪くなり小腸から吸収する薬の量が不安定になることです。断続的な薬の服用では血中濃度の維持が難しくなります。したがって、薬が効かない時間が現れたり、薬が効きすぎて体が勝手に動く時間が現れたりするのです。

パーキンソン病の初期段階(ハネムーン期)

パーキンソン病は、中脳にあるドーパミン神経が減少し、生成されるドーパミンが不足することで発症する病気です。
治療では、不足しているドーパミンを薬で補います。治療を始めてから3~5年程度は、薬がよく効くためこれまでと大きく変わらない生活を送ることができるでしょう。この期間を、ハネムーン期といいます。

ハネムーンといわれることから分かるとおり、この期間が永遠に続くわけではありません。病気が進行すると薬は効きにくくなります。
治療を始めてから約5年で半数程度の方に、運動合併症が発生すると考えられています。

関連記事:パーキンソン病の原因・初期症状とは?セルフチェック方法も紹介

パーキンソン病の運動合併症

運動合併症では、具体的にどのような症状が出るのでしょうか。原因、治療法とあわせて解説します。

①ウェアリングオフ

ウェアリングオフは、 薬の効果が切れる時間帯ができて、動けなくなったりふるえたりする現象です。薬を飲んでから効きだすまでの間や、次回の薬を飲む前などに現れます。具体的な症状として、歩きにくくなる、前傾姿勢になる、気分が落ち込む、痛みやしびれが発生するなどがあげられます。

脳でドーパミンに変化するL-ドパ(レボドパ)製剤を毎食後に服用している場合、ウェアリングオフは昼食と夕食の間に現れやすいと考えられています。朝食と昼食の間よりも、薬を飲む間隔が長くなるためです。

ウェアリングオフの原因と治療法

パーキンソン病の治療で用いられるL-ドパ製剤の欠点は、半減期(血中濃度が半減するまでの時間)が短いことです。病気が進行していなければ、L-ドパ製剤の服用によって補われたドーパミンが神経細胞に保存されるため効果を持続できますが、病気が進行すると神経細胞が少なくなるため、蓄えられるドーパミンの量が減ってしまいます。したがって、薬の効果が切れる時間帯が現れるのです。

薬の効きが悪くなった場合は、服用する時間や服用する回数を調整したり、ドーパミンの分解を阻害する薬などを併用したりして対処します。
これらの対処でも十分な効果を得られない場合は、腸に薬剤を直接投与する治療、脳に小さな電極を埋め込む治療などを検討します。

②ジスキネジア

自分ではとめられない、とめてもすぐに現れる動きをジスキネジアといいます。薬を飲んでしばらくして血中濃度が高くなったときに症状が現れます。具体的な症状として、口を繰り返しすぼめる、口をモゴモゴさせる、手や足がクネクネと動くなどがあげられます。体が勝手に動くため、周囲の視線が気になる方もいるようです。

ジスキネジアの症状の程度はさまざまです。動きに支障を与えるほど強く現れることもあれば、患者さんご本人ですらほとんど気にならないこともあります。

ジスキネジアの原因と治療法

現在のところ、ジスキネジアはドーパミン受容体の感受性が過剰になり、神経の興奮をうまくコントロールできず引き起こされると考えられています。ジスキネジアの治療対象になるのは、基本的に日常生活に支障を及ぼしているケースです。ただし、気になる点がある場合は、症状の程度を問わず主治医に相談することが大切です。ジスキネジアの治療では、薬の減量などを検討します。

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療法には、次の種類などがあります。

【治療法の種類】

  • 薬物療法
  • デバイス補助療法

ここでは、これらの治療法について解説します。

薬物療法

薬物療法で使用される薬は、以下の3種類に大別されます。

【薬物の種類】

  • L-ドパ製剤
  • ドーパミンアゴニスト(ドーパミン作動薬)
  • 補助薬など

L-ドパ製剤は、脳でドーパミンに変化する薬です。治療の基本になる薬と考えられています。ドーパミンアゴニストは、ドーパミンの働きを補う薬です。L-ドパ製剤に比べて作用時間が長いなどの特徴を備えます。補助薬は、L-ドパ製剤の働きを助ける薬といえるでしょう。
たとえば、L-ドパの分解を防ぐ薬、ドーパミンの分解を防ぐ薬、神経のバランスを整える薬などがあります。

薬物療法は、L-ドパ製剤とドーパミンアゴニストを中心に開始し、病気の進行にあわせて、もう一方の薬や補助薬などを組み合わせます。
ひとつの薬だけで治療できることはほとんどありません。基本的には、複数の薬を組み合わせて治療を行います。

デバイス補助療法

デバイス補助療法は、薬の種類や量などを調整しても運動合併症が改善しないときなどに検討される治療法です。デバイス補助療法は、以下の2種類に分かれます。

【デバイス補助療法の種類】

  • レボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法
  • 脳深部刺激療法

レボドパ/カルビドパ配合剤持続経腸療法は胃から空腸に通したチューブを使って薬剤を投与する治療、脳深部刺激療法は脳に埋めた小さな電極で電気信号を送って症状を改善する治療です。

パーキンソン病が進行するとウェアリングオフなどが現れる

ここでは、パーキンソン病の運動合併症について解説しました。病気が進行すると、薬が切れて体が動きにくくなるウェアリングオフや、身体が勝手に動くジスキネジアなどの運動合併症が現れることがあります。運動合併症には、薬の調整やデバイス療法などで対処できます。気になる症状が現れている場合は、主治医に相談することが大切です。
適切な治療で、日常生活の過ごしにくさを改善できる可能性があります。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。
パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。
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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。