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パーキンソン病は治る?治療の効果、新しい治療と注意したいポイント

パーキンソン病は治る?治療の効果、新しい治療と注意したいポイント

「パーキンソン病で治療を受ければ治るの?」などの疑問を抱いていませんか。見通しがわからず困っている方もいるでしょう。
結論から述べると、現在のところ根本的な治療法は見つかっていません。
しかし、適切な治療を受けることで、長期にわたり通常の生活を継続できるようにはなっています。
ここでは、パーキンソン病が治る可能性やパーキンソン病の基本的な治療方法、期待されている新たな治療法、治療にあたり注意したいポイントなどを解説しています。

治療の効果などが気になる方は参考にしてください。

パーキンソン病の概要

パーキンソン病は、安静時の震えなどを主な運動症状とする病気です。
難病法に基づく医療費助成の対象になる指定難病(指定難病6)に指定されています。発症しやすい年代は50~60代です。高齢になるほど、発症率と有病率は高くなります。
20代など、若くして発症する方も稀にいます。40歳以下で発症したパーキンソン病を若年性パーキンソン病といいます。幅広い年齢で発症する可能性がある病気といえるでしょう。

患者数は65歳以上に限定すると1,000人に10人程度(100人に1人程度)です。高齢化に伴い、パーキンソン病に悩まされている方は増加しています。身近になりつつある病気といえるかもしれません。パーキンソン病は、どのような原因で引き起こされて、どのような症状を現すのでしょうか。

原因

現在のところ、パーキンソン病の根本的な原因は分かっていません。体質、環境などのさまざまな因子が関わっている可能性があります。安静時の震えをはじめとする症状が現れる理由は、中脳にある黒質ドパミン神経細胞が変性したり脱落したりするためです。この細胞は年齢とともに減少しますが、パーキンソン病の方ではそのスピードが健康な方に比べて早くなります。

黒質ドパミン神経細胞の主な役割はドパミンをつくることです。この神経細胞が減少すると、ドパミンの放出量も減少します。ドパミンは、運動の調節や意欲、快楽などに関わっている神経伝達物質です。したがって、パーキンソン病になると、指令を伝えられず、運動の調整などをうまく行えなくなります。その結果、安静時のふるえをはじめとする症状が引き起こされるのです。

前述のとおり、黒質ドパミン神経細胞が減少する原因は分かっていません。
現時点では、ドパミン神経細胞の中に蓄積したα-シヌクレインというタンパク質が関係していると考えられています。

以上からわかるとおり、現時点では「なぜパーキンソン病になったか」「どうしてパーキンソン病になるのか」などの質問に対する明確な答えはでていません。研究が続いている病気と理解しておくことが大切です。

関連記事:パーキンソン病の原因とは?代表的な症状と日常生活での対処法

主な症状

パーキンソン病の4大症状は次のとおりです。

【4大症状】

  • 振戦
  • 動作緩慢
  • 筋強剛
  • 姿勢保持障害

振戦はふるえを意味します。パーキンソン病における振戦のポイントは、安静にしているときに生じることです。つまり、椅子に座って力を抜いているときに手がふるえる、作業などの動作を始めるとふるえが小さくなるなどの症状が現れます。

動作緩慢は、動作が鈍くなったり動きが少なくなったりする症状です。椅子から立つときや布団の上で体位を変えるときなどに目立ちやすいと考えられています。また、表情が乏しくなる(仮面様顔貌)、言葉に抑揚がなくなる、よだれがでるなども特徴的な症状といえるでしょう。よだれは嚥下機能の低下を表すため注意が必要です。

筋強剛は、筋肉がこわばる症状です。筋肉が固くなるため、体をスムーズに動かせません。自覚症状は乏しいですが、他人が本人の手や足の関節を曲げたり伸ばしたりすると、ガクガクと歯車が噛み合うような抵抗を感じます(歯車現象)。

姿勢保持障害は、体のバランスを保ちにくくなる症状です。私たちの体は、転倒しそうになると反射的に姿勢を戻してバランスを保とうとします。この機能が障害されるため、立ち上がるときや歩いているときなどに転倒しやすくなります。

以上が、パーキンソン病の4大症状です。初発症状でもっとも多いのは振戦、次に多いのは動作緩慢、次に多いのは筋強剛と考えられています。初発症状として現れるのは、原則として上記の3症状だけです。

また、パーキンソン病では、4大症状以外にもさまざまな症状が現れます。レム睡眠行動異常、嗅覚障害、不安障害、抑うつなどは発症の5年以上前から現れる恐れがあります。これらの症状にも注意が必要といえるでしょう。

パーキンソン病は治療を受ければ治る?

残念ながら、パーキンソン病の根本的な治療法は見つかっていません。原因が完全に分かっていないためといえるでしょう。残念ながら、治療を受ければ治る病気ではありません。しかし、症状を軽くする薬剤や治療は開発されています。

適切な治療(主に薬物療法と運動療法)を受けて生活環境を整えれば、長期にわたり普通の生活を送ることが可能です。進行スピードはケースで異なりますが、適切な治療を受ければ発症後10年程度は普通の生活を継続できるケースが多いと考えられています。発症から10年以降の状況は個人差が大きくなります。当然ながら、介助を必要とするケースもあるでしょう。

治療薬の開発を受けて、全体平均と平均寿命が大きく変わらない点もポイントです。寿命には、合併症が大きく関わると考えられています。転倒による骨折に気をつけることはもちろん、誤嚥による肺炎(誤嚥性肺炎)などにも注意しなければなりません。誤嚥性肺炎をはじめとする感染症は、寝たきり生活になってからの死因になるケースが多いようです。

パーキンソン病の治療法

パーキンソン病の治療法は、薬物療法、運動療法、外科的療法にわかれます。それぞれの詳細は次のとおりです。

薬物療法

運動療法と並ぶ基本の治療法です。症状の程度などによって、さまざまな薬剤が用いられています。代表的な薬剤としてあげられるのがLドパ製剤です。Lドパは、ドパミンになる前段階の物質を指します。脳内でドパミンに変化します。つまり、Lドパ製剤は、パーキンソン病で減少するドパミンを補う薬剤です。このほかにも、ドパミンを分解する酵素を阻害する薬剤、アデノシン受容体を阻害して神経のバランスを調整する薬剤などが用いられています。

運動療法

薬物療法と並ぶ基本の治療法です。動作緩慢などの影響で体を動かさなくなると、筋力と体力は低下し、関節も固くなってしまいます。体をさらに動かしにくくなったり転倒しやすくなったりするため、運動療法が欠かせません。運動療法のポイントは、決まった時間に行う、体を動かしやすい時間帯に行う、適切な運動強度を考えるなどです。症状が強く現れていない場合は、これまでとおりの生活を継続することもリハビリテーションになります。取り組みやすい運動として、体力を維持するウォーキングなどの有酸素運動、柔軟性を高めるストレッチ、筋力を維持する筋肉トレーニング、飲み込む機能を維持する嚥下トレーニングなどがあげられます。専門家と相談しつつ、計画的に行うことが大切です。

外科的療法

この後で説明するウェアリングオフが出現している方などでは、外科的療法を行うこともあります。具体的には、脳に細い電極を埋め込み視床下核の働きを制御して、体を動かしやすくする治療です。持続的な効果を期待できる治療法ですが、外科的療法も根本的な治療につながるわけではありません。

パーキンソン病に対する薬物療法による運動合併症のリスク

薬物療法で以下の合併症を引き起こすことがあります。

【合併症】

  • ウェアリングオフ
  • ジスキネジア

それぞれの概要は次のとおりです。気になる点がある方は、主治医に相談しましょう。

ウェアリングオフ

薬物療法の期間が長くなると、薬剤(Lドパ製剤)が効いている時間は少しずつ短くなります。薬剤の効果が切れて、急に体を動かしにくくなる、ふるえが生じる、気分が沈むなどの状態になることをウェアリングオフといいます。

ドパミン神経細胞の変性でドパミンを蓄えにくくなると、薬剤の効果は2~3時間程度で切れることがあります。1日の中に薬剤が効いている時間帯と薬剤が効いていない時間帯が現れるため、生活しづらさを感じるケースが少なくありません。

この運動合併症が引き起こされる原因は、時間の経過とともに治療の効果がでる血漿中Lドパ濃度の幅が狭くなるためです。治療の効果が現れない血中濃度の幅が広くなることで、症状が現れると考えられています。

ウェアリングオフには、薬の飲む回数を調整したり、Lドパ製剤の働きを助ける薬剤を使用したりして対処できることがあります。薬剤を服用しているのに体を動かしにくい時間帯があるなどに該当する場合は、できるだけ早く主治医に相談することが大切です。

ジスキネジア

薬物療法の期間が長くなると、ジスキネジアも現れやすくなります。ジスキネジアは、自分の意思とは無関係に体が動く不随意運動を指します。たとえば、薬剤を服用してしばらく経つと、クネクネと手や足が勝手に動いてしまう、モゴモゴと口や舌が勝手に動いてしまうなどが考えられるでしょう。

ジスキネジアの原因も、時間の経過とともに治療の効果がでる血漿中Lドパ濃度の幅が狭くなることです。薬剤が効きすぎる血中濃度の幅が広くなることで、症状が現れると考えられています。

ジスキネジアは、薬剤や用量の変更で対処できることがあります。気になる点がある方は、主治医に相談しましょう。

パーキンソン病に対する治療法の将来性

現在のところ、パーキンソン病の根本的な治療法はありません。ここからは、理想的な治療方法と今後の展望について解説します。

理想的な治療法

パーキンソン病は、中脳にある黒質ドパミン神経細胞の変性などで引き起こされます。
したがって、理想的な治療法は、黒質ドパミン神経細胞の変性を抑制する、または変性した黒質ドパミン神経細胞を元の状態に戻すことといえるでしょう。

前者を実現できれば、振戦をはじめとするさまざまな症状を抑えられます。パーキンソン病そのものを予防できる可能性もあります。後者を実現できれば、ウェアリングオフやジスキネジアのリスクを大幅に抑えられるはずです。パーキンソン病が治せる病気になることも考えられます。

ただし、現状ではパーキンソン病の原因すら明確には分かっていません。すぐにこれらの治療法を実現することは難しいといえるでしょう。

今後の展望

パーキンソン病は、65歳以上の100人に1人が患者と考えられている神経難病です。多くの方を悩ませているため、新たな治療法が継続的に開発されています。

注目を集めている治療法としてあげられるのがiPS細胞を活用した再生医療です。具体的には、ドパミンの補充を目的として、iPS細胞から誘導したドパミン神経前駆細胞を脳内に移植する治療法が研究されています。

この治療法は、安全性と有効性を確かめるため、2018年に第1例目の手術(治験)が行われました。最終的な目的は、パーキンソン病の標準治療になることとパーキンソン病で寝たきりになる患者をゼロにすることです。

(参考:国立研究開発法人日本医療研究開発機構

この他にも、さまざまな治療法が研究されています。根本的な治療法を見つける日が来るかもしれません。

パーキンソン病の新しい治療法

ここからは、パーキンソン病の新しい治療法を紹介します。

iPS細胞を活用した治療

iPS細胞は、他の治療法にも活用されています。一例としてあげられるのが、iPS細胞を活用してパーキンソン病患者の脳内で起きている現象を再現する順天堂大学の取り組みです。同大学は2016年にパーキンソン病iPS細胞バンクを起ち上げて、約500名の患者の細胞を採取し、150種類以上のiPS細胞の解析を進めています。

また、順天堂大学は、iPS細胞を活用したスピーディーな自動解析を特徴とする治療薬検索システムの開発にも成功しています。ポイントは、細胞の変化を詳細に把握できることです。このシステムを使って、一部の家族性パーキンソン病ならびに一部の孤発性パーキンソン病の症状を改善する可能性がある薬剤を発見しています。

順天堂大学は、パーキンソン病iPS細胞バンクの解析結果と患者データを活用して、孤発性パーキンソン病の分類を目指しています。分類できれば、効果的な治療を行いやすくなる可能性があるためです。注目の取り組みといえるでしょう。

(参考:Juntendo Reserch

遺伝子治療

遺伝子治療も、新しい治療法として注目を集めています。具体的には、ウイルスベクターを使って神経細胞のなかで治療用の遺伝子を発現させる遺伝子治療などが行われています。この治療法の魅力は脳でドパミンをつくれることです。したがって、運動症状などの改善を期待できます。過去に行われた臨床試験で、症状を改善する可能性が示されている点もポイントです。実用化に向けて、治験などが行われています。

(参考:NHK健康ch

パーキンソン病の治療中における注意点

パーキンソン病の治療を受けるときは、いくつかの点に注意が必要です。基本のポイントとして、薬剤の服用を忘れないことがあげられます。症状が改善すると、薬剤の服用を忘れてしまうケースが少なくありません。悪化を招くため、スマホに記録するなどの対策を講じて、適切に管理することが大切です。

薬剤の用法や用量を自分で変更しないことも注意点としてあげられます。自己判断でこれらを変更すると、期待する効果を得られなかったり想定外の副作用が現れたりすることがあります。主治医の指示を守って服用しましょう。

薬剤の副作用を理解しておくことも欠かせません。飲み始めに現れやすい副作用として、食欲不振、立ち眩み、眠気などがあげられます。幻覚やむくみ、衝動的な行動に悩まされることもあります。ここでいう衝動的な行動は、ギャンブルへの依存や性欲の高まりなどです。以前は見られなかった衝動的な行動がみられる場合は薬剤の影響かもしれません。事前に副作用を確認しておくとともに、気になる症状が現れた場合は主治医に相談することが大切です。

パーキンソン病は適切な治療を受けることが大切

ここでは、パーキンソン病の治療について解説しました。現在のところ正確な原因は分かっていません。したがって、根本的な治療法もありません。しかし、適切な治療を受けることで、長期にわたり通常の生活を継続することは可能です。主治医と二人三脚で、治療を継続していくことが大切といえるでしょう。新たな技術を用いて、原因の解明と新しい治療法の開発が行われている点もポイントです。近い将来に、パーキンソン病が治る病気になることも考えられます。

スーパー・コートでは、有料老人ホーム、高齢者住宅の運営・管理を行っており、パーキンソン病専門住宅もございます。パーキンソン病について困っていることや、不安なことがある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者

監修者の写真

花尾 奏一 (はなお そういち)

介護主任、講師

<資格>

介護支援専門員、社会福祉士、介護福祉士

<略歴>

有料老人ホームにて10年間介護主任を経験し、その後「イキイキ介護スクール」に異動し講師として6年間勤める。現在は介護福祉士実務者研修や介護職員初任者研修の講師として活動しているかたわら、スーパー・コート社内で行われる介護技術認定試験(ケアマイスター制度)の問題作成や試験官も務めている。