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⑤脊髄小脳変性症について

こんにちは!

今回は

「⑤脊髄小脳変性症」について書いていこうと思います!

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脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう、Spinocerebellar Ataxia: SCA)は、小脳や脊髄、さらにはその他の神経系の部分に影響を与える進行性の遺伝性疾患の一群です。これらの疾患は、神経細胞が徐々に変性(破壊)し、最終的には運動機能が損なわれ、患者の歩行やバランス、協調性に障害が現れます。脊髄小脳変性症には多くの種類があり、それぞれに異なる原因遺伝子や症状がありますが、共通して小脳脊髄に影響が及びます。


脊髄小脳変性症の特徴

脊髄小脳変性症はその名の通り、小脳(運動の調整に関与)と脊髄(神経信号の伝達を担当)が主に影響を受けますが、症状が多岐にわたります。以下は、典型的な症状です。fuantei_ashikoshi_ojiisan.png

1. 運動失調(Ataxia)

  • 小脳の障害によって、運動の協調性が損なわれます。
  • これにより、歩行が不安定になり、足を引きずるように歩くことが多く、転倒しやすくなります。初期には歩行が少し不安定になるだけですが、進行するにつれて、全体的な動作が不器用になり、歩けなくなることもあります。

2. 筋力低下(筋無力症)

  • 運動失調の影響で、筋力が低下することがあります。手足を動かす際に、思うように力が入らない感覚が現れることがあります。

3. 言語障害(構音障害)

  • 言葉をうまく発音できない、あるいは発話が不明瞭になることがあります。進行性に言語能力が低下することがあります。

4. 眼球運動障害

  • 眼球の協調運動に障害が現れ、物を追いかけるのが難しくなったり、目を動かすのが困難になることがあります。これが進行すると、視界がぼやける、または二重に見えることがあります。

5. 感覚障害

  • 感覚を伝える神経にも影響が及ぶことがあり、触覚や温度感覚が鈍くなることがあります。

6. 筋肉の硬直や痙攣

  • 進行に伴って、筋肉の硬直や痙攣(ジストニア)が見られることがあります。これにより、姿勢が不自然になったり、動作がぎこちなくなることがあります。

7. 精神的な症状

  • 一部の脊髄小脳変性症では、抑うつ症状不安感、さらには認知機能の低下が現れることがあります。

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原因

脊髄小脳変性症の原因は、遺伝的要因にあります。常染色体優性遺伝常染色体劣性遺伝のパターンで遺伝するものがあり、進行が早いものもあれば、遅いものもあります。具体的な原因としては、遺伝子の突然変異三核酸の繰り返し異常(CAGリピート)などが関与しています。

  • CAGリピート異常:脊髄小脳変性症の多くは、CAG(グルタミン)リピート配列の異常によって引き起こされます。CAGリピートが異常に増加すると、神経細胞内に異常なタンパク質が蓄積し、細胞の機能が障害されます。
  • このCAGリピート異常が起こると、進行性の運動失調や神経障害が引き起こされます。

主なタイプ(代表的なもの)

  1. SCA1(脊髄小脳変性症1型)

    • CAGリピートの異常が関与しており、最も一般的なタイプの一つです。症状は30代から40代に現れ、進行が早いことが多いです。
  2. SCA2(脊髄小脳変性症2型)

    • こちらもCAGリピート異常が原因で、20代から40代に発症します。進行が比較的遅いことが特徴です。
  3. SCA3(脊髄小脳変性症3型、Machado-Joseph病)

    • 最も頻度が高いタイプの一つで、特にポルトガル系やブラジル系の人々に多いです。症状は30代で現れ、運動失調とともに筋力低下が進行します。
  4. SCA6(脊髄小脳変性症6型)

    • SCA6は比較的遅い進行を特徴とし、発症年齢は50歳以降が多いです。症状が現れるまでに長い潜伏期間があります。
  5. SCA7(脊髄小脳変性症7型)

    • 視力障害や視野狭窄が特徴的で、視神経の障害が目立ちます。

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診断

脊髄小脳変性症の診断は、以下の方法を組み合わせて行われます:

  1. 病歴の聴取:症状の進行具合や家族歴(遺伝的なものかどうか)を確認します。
  2. 神経学的評価:運動機能、歩行、バランスのチェック、眼球運動のチェックを行います。
  3. 遺伝子検査:特定の遺伝子に異常があるかを確認するため、遺伝子検査が行われることがあります。これにより、SCAタイプの特定が可能です。
  4. MRI(磁気共鳴画像):脳や脊髄の萎縮状態を確認するために、MRI検査を行うことがあります。小脳や脊髄の萎縮が見られることがありますが、早期にはMRIで明確に変化が見られないこともあります。

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治療

脊髄小脳変性症に対する特効薬は現在のところ存在しませんが、症状に応じた対症療法が行われます。

  1. 運動機能のサポート

    • 理学療法(リハビリテーション)を通じて、運動機能やバランス能力を維持することが重要です。歩行訓練や筋力トレーニングが推奨されることがあります。
  2. 薬物療法

    • 運動症状筋力低下を和らげるために、ドーパミン補充薬(例:レボドパ)や、抗けいれん薬抗うつ薬が使用されることがあります。ただし、薬の効果は限られており、進行を止めることはできません。
  3. 言語療法

    • 発話や飲み込みの訓練を行い、言語能力や嚥下機能の低下を遅らせることが試みられます。
  4. 精神的支援

    • 認知症や抑うつ症状に対して、精神的な支援カウンセリングが行われることがあります。
  5. 生活支援

    • 日常生活の中で、自立した生活が難しくなることがあるため、介護や福祉サービスの利用が必要になる場合があります。

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