こんにちは!
今回は前回の①パーキンソン病に続いて
「②進行性核上性麻痺」についてです!
進行性核上性麻痺(しんこうせいかくじょうせいまひ、Progressive Supranuclear Palsy: PSP)は、
神経系の変性疾患で、特に脳幹や基底核、小脳に影響を与える疾患です。
パーキンソン病に似た症状が現れますが、異なる病態であり、治療が難しく、
進行が早いことが特徴です。
進行性核上性麻痺の特徴
PSPは、運動機能に関わる脳の部分が損なわれることによって発症します。
以下の特徴的な症状が見られます。
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眼球運動障害:
- 最も特徴的な症状は、上下の視線の制限です。
- 目を上下に動かすことが非常に難しくなり、特に下を向くことが困難になることがあります。
- 反応性眼振(眼が不自然に震えるような動き)が見られることもあります。
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運動障害:
- パーキンソン病に似た症状が現れますが、手足の震え(振戦)はあまり見られず、
- 代わりに筋肉の硬直(筋固縮)や歩行障害、転倒が進行します。
- 歩行時に体が前かがみになることがあり、転倒しやすくなります。
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姿勢の異常:
- 立っているときや座っているときの姿勢が崩れることがあります。
- 頸部や体幹の硬直が起こり、うつむき姿勢(前屈姿勢)になることもあります。
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認知・精神症状:
- 認知機能の低下(記憶力の低下、判断力の衰え)が進行することがあり、
- 抑うつ症状や情動の変化(例えば、感情が表に出にくくなる)も見られます。
- 言語障害(話すのが難しくなること)や
- 食事の嚥下障害(飲み込みにくさ)も進行する場合があります。
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自律神経症状:
- 血圧の低下(起立性低血圧)や発汗異常など、
- 自律神経の機能が低下することもあります。
原因
PSPの原因はまだ完全には解明されていませんが、
タウタンパク質という異常なタンパク質が脳内で蓄積されることが、
疾患の進行に関与しているとされています。
このタウタンパク質の異常が神経細胞の死を引き起こし、症状が現れます。
- 遺伝的要因はわずかに関与している可能性があり、
- 一部の家族において発症することもありますが、ほとんどの場合、
- 遺伝とは関係がないと考えられています。
診断
PSPの診断は、主に臨床的評価に基づきます。
MRIなどの画像検査で脳の構造的変化を確認することがありますが、
PSPに特異的な画像所見はないため、診断が難しいこともあります。
診断は、症状の経過や特徴的な臨床所見から総合的に行われます。
治療
進行性核上性麻痺には、現在のところ根本的な治療法はありませんが、
症状を和らげるための治療は行われます。
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薬物療法:
- パーキンソン病に似た薬(例えばドーパミン補充薬)を
- 試すことがありますが、効果は限られています。
- 抗うつ薬や抗精神病薬が、精神的な症状に対して使われることもあります。
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理学療法:
- リハビリテーション(運動療法、歩行訓練など)は、
- 症状の進行を遅らせる効果があることがあります。
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嚥下訓練:
- 飲み込みにくさを改善するための訓練が行われることがあります。
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外科的治療:
- 脳深部刺激療法(DBS)などの手術療法はPSPにはあまり効果がないとされています。
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